「1000兆円」を超える借金…「利上げ」で返済の金額も跳ね上がる パンパンに膨らんだ国債残高の行方は

2024年3月19日 20時54分
 日銀は19日の金融政策決定会合でマイナス金利の解除を決めた。今後は次の利上げのタイミングを模索するが、国の借金である国債の利払い費が増えることも、金利上昇時に生じる懸念だ。財政の専門家は「国債費の増加が重荷になる前に、予算の見直しなど財政再建を急ぐ必要がある」と指摘する。

◆金融緩和前に比べて「1.5倍増」

 マイナス金利など日銀の大規模緩和の下では金利が低く抑えられるので、政府は借金である国債発行をしやすくなり財政が緩んだ。緩和開始前の2012年度末に705兆円だった国債残高は22年度末に1027兆円に膨張。23年度末には1075兆円に達する見込みで、緩和前の1.5倍となる。
 財務省は2月、金利が上昇した際の利払い費増について試算を公表した。名目経済成長率3%と消費者物価上昇率2%を前提にした場合、27年度の想定金利は2.4%に上がると仮定。利払い費は15.3兆円に増え、24年度の9.7兆円から1.6倍に増える。
 国の予算は膨張を続けており、24年度の一般会計当初予算における歳出総額は112兆円。そんな中、政府は27年度までの5年間における防衛費を総額43兆円に増やす方針で、今後税収が増えなければ、子育てや社会福祉など暮らしに欠かせない予算を圧迫しかねない。
 日本総合研究所の河村小百合氏は「歳出削減と並行し、欧米のように業績絶好調の企業や富裕層に応分の負担を求めるなど、国全体で財政再建に取り組むことが必要だ」と強調する。(高田みのり、市川千晴)

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