ユーチューバーの未来は――。最近、人気ユーチューバーが再生数や登録者数の伸び悩み、収益の激減を打ち明け、中には引退に追い込まれるケースも出ている。ユーチューブドリームで多くの〝億り人〟も誕生したが、時代が激しく変化する戦国時代で、厳しい淘汰の時代に突入している。

 チャンネル登録者数180万人のラファエルが昨年末に広告収益、再生数の激減を告白すれば、登録者数209万人の筋肉系ユーチューバーのぷろたんは今月の収益が先月に比べ、5分の1になったことで「ユーチューブ全体がオワコンになっている」と発言し、大きな話題になった。

 煽り、炎上系で人気を博し、登録者数122万人を誇るプロレスラーでユーチューバーのシバターは年明けの動画で、「ラファエル君は全盛期の10分の1。ヒカル君も数字は落ちている。(自身も)前年比で広告収入、再生数はほぼほぼ半分」と古参ユーチューバーが苦戦している状況を明かした。

 シバターはその背景について「ユーチューバーが増え過ぎた。テレビもチャンネルが増えたら好きなのを見て、一つの視聴率が減る。ラファエルやヒカルがつまらなくなった、シバターの勢いがないとの声があるが、質は上がったり下がったりしていない。飽きもあるし、スマホを見る時間が増えるわけがない」とユーチューブ戦国時代で、先行者利益がなくなったとの分析だ。

 昨年、たった半年で126万人の登録者数を集めながらもBAN(アカウント停止)となって、ユーチューブ界の話題をさらった暴露系のガーシー(東谷義和氏)はツイキャスで「コロナが明けて、エンタメが増え、やっと遊べるようになって外に出ている。それが再生回数が落ちている理由。(ユーチューバー)自身に影響力がなくなったわけではなく、ほかに興味が向いている」と指摘している。

 限られた時間の中で、人気となっているのはショート動画のTikTokで、急速にシェアを拡大している。ライブ配信中に視聴者から投げ銭でチップを得る収益モデルで、ユーチューブと比べれば落ちるものの月数百万円を稼ぐつわものがズラリ。10~30代を中心に配信者がユーチューブからTikTokに主戦場を移している動きも顕著だ。

 シバターも「ここにきて強いのは生放送でスーパーチャット(投げ銭)。スパチャで稼いでいるやつの時代にまた戻るかも」と再生数でのビジネスモデルから、かつてニコニコ生放送でブームとなったリアルタイムの投げ銭に回帰するとの見方を示した。

 ただ、ユーチューブがオワコンというわけではないようだ。昨年末でユーチューブ引退(エンタメ動画の配信停止)を表明した「Repezen Foxx」(レペゼンフォックス)は10日間24時間生配信の大型企画で、登録者数400万人を突破する底力を見せた。

 ユーチューブの切り抜き動画はTikTokで拡散される相乗効果を生めば、朝倉未来がプロデュースする1分間格闘技「BreakingDown」が大ヒットし、オーディション動画は軒並み500万回以上の再生数で1000万超えも叩き出している。出演者がほとんど素人での低予算ながらもモンスターコンテンツとなっている。

 ネットの趨勢を見てきた、2ちゃんねるやニコニコ動画の元管理人でもあるひろゆき氏は「街録ch」で、10年後のユーチューブ界の未来予想図について「ヒカキンさんとはじめしゃちょーは今のペースをずっと続けるので、たぶん何の問題もなく残り続ける。マンネリ企画を許される。『サザエさん』とか『徹子の部屋』は面白くないから続く」と話している。

 一方、登録者数54万人のNHK党の立花孝志党首は「他の人ができない強み、専門性があって、一芸に長けてないと厳しい。ユーチューブの時代が終わるとは言わないが、チャンネルが増える一方なので、どう連合を組むか」とコラボを上回る同盟関係を結んでの囲い込みが必要ではと私見を述べた。

 ユーチューブに返り咲いたとしてもかつての登録者数は無理としたガーシーは「粛々と応援してくれているファンを一番大事にしないといけない時期」と視聴者に寄り添った番組作りが大事だと説いた。